ヒト糖鎖精密地図
質量分析器を用いた最新の糖鎖構造解析技術で、ヒトの身体の中に存在する糖鎖の正確な構造を網羅的に明らかにしていきます。
糖鎖は、タンパク質や脂質に結合した形で存在しています。
「ヒト糖鎖精密地図」では、どのタンパク質の、どの部位に、どんな形の糖鎖がついているか、詳細な情報を得ていきます。
ヒト糖鎖精密地図を作ることで、ヒトが疾患になったとき、健康なときと比べてどの糖鎖がどのように変わったのか、わかるようになります。
疾患関連糖鎖カタログ
どの糖鎖が、どんな時に、どのように変わるのか。
多くのかたの血液中の糖鎖を調べて、身体の変化、病気と糖鎖の関係を解明していきます。
(疾患糖鎖カタログのイメージ)
血液中の膨大な糖鎖構造を解析します。一つ一つの点は違う形の糖鎖を表します。病気になると、特定の糖鎖が減少したり、増加したり、様々な変化が起きることが予想されます。
現在、がんの診断で用いられるバイオマーカーの多くは、糖鎖の変化を検出しています。つまり、病気になると体の中の一部の糖鎖の構造が変わります。ときにそれが病気の悪化の原因となることもあります。つまり「糖鎖の変化」は診断や治療に役立てることができます。
本プロジェクトでは、認知症をはじめとする様々な病気の患者の血液の中の糖鎖を網羅的に調べます。最先端の機器と方法を用いて、血液中に含まれる膨大な数の糖鎖の構造を調べ、どの糖鎖が、どの病気でどう変化するのかを明らかにします。
糖鎖生合成アトラス
さまざまな構造の糖鎖がどのようにできるのか。
細胞の中で糖鎖がつくられるしくみを明らかにします。
細胞の中で糖鎖が酵素によって順次作られていく模式図
それぞれの病気において、糖鎖の構造の変化はどのように起こるのでしょうか?
それがわかれば、糖鎖の変化を抑えることで、病気を治すことも可能になるかもしれません。
糖鎖は、細胞の中の酵素の働きによって作られます。糖鎖を作る酵素(糖転移酵素と呼ばれています)の多くは、細胞内のゴルジ体と呼ばれる場所に存在します。しかし、ゴルジ体の中のさらに細かい場所や、それぞれの酵素がどれほどの活性を持っているかなど、詳細はまだ解明されていません。
本プロジェクトでは、ヒトの全ての糖転移酵素について、細胞内で存在する場所や活性の詳細を明らかにします。
糖鎖が作られるしくみを解明し、特定の糖鎖を改変する技術の開発へつなげます。
糖鎖ナレッジベース:TOHSAの構築
ヒトの糖鎖の情報を網羅的に収載したナレッジベース「TOHSA」を構築します。これにより、世界中の人が糖鎖の情報を利用できるようになります。
ナレッジベースとは、データと知識を蓄積・融合して活用しやすくしたシステムです。
「TOHSA」は、ヒトの身体に存在する糖鎖の構造、病気と糖鎖の関係、糖鎖が細胞内で作られるしくみ、これらの糖鎖に関する情報を網羅的に収載したものです。そしてその糖鎖の情報は公開され、世界中の人が使えるようになります
糖鎖の情報は、研究・医療分野に広く応用され、生命のしくみの真の理解と革新的治療・予防法の開発へと活用されていきます。